医療機関様インタビュー
Q1
- 名古屋掖済会病院様では、2022年よりタスクフォースによる夜勤専従看護補助者の派遣サービスを導入されていますが、導入に至った背景を教えてください。
- かつて地域包括ケア病棟に夜勤の看護補助者が配置されていたのですが、介護度の高い患者さんが多いこともあり、非常に助かっているという声が院内に多くありました。そこで、高齢者の割合が高い急性期病棟でも看護補助者の夜間配置を検討することになりました。令和2年度の診療報酬改定で、看護補助者の夜間配置加算が増点されたことも契機のひとつとなっています。
夜間には、せん妄状態で混乱される方や転倒・転落の危険もあります。看護師の配置は十分ではありますが、それでも手一杯になってしまいますので、看護補助者の方々に落ち着いている患者さんへの生活の援助や見守りをしていただくことで、看護師の負担を軽減したい、そんな目的で導入に至りました。
Q2
- 現在は、看護補助者についてはタスクフォースの派遣サービスをメインでご利用いただいているということですが?
- 元々、日勤の看護補助者はタスクフォースさんか当院の直接採用だったのですが、徐々にタスクフォースさんの比重が増えていきました。欠員が生じたときにタスクフォースさんならタイムリーかつスピーディーに補充してくれるというのが、その大きな理由です。無理を承知のお願いに「なんとかやってみます」と対応いただいたことから信頼関係が築けたように思います。また、複数の派遣会社間でお給料や休暇の条件が異なると、看護補助者同士の連携がギクシャクしたものとなり結果的に離職リスクが高まってしまうので、外注先としてはタスクフォースさんだけに一本化したほうが、管理や教育がしやすいというメリットもありました。
Q3
- 派遣サービスよりも直接採用のほうがコストは抑えられるのでは?
- もちろん当院での採用も考えたことはありました。しかし、採用に関する手間の問題が大きいのです。入れ替わりが多い職種でもあり、常に採用の広告を出し、面接をして、教育をして、トラブル対応もしてと、とても多くの手間と労力がかかります。当院は看護師も多く採用しているので、そちらにも注力しないといけません。様々な角度から検討し、より効率的なのは派遣サービスの活用だという結論に至りました。
Q4
- 看護補助者の働きにより、どの程度、看護師の皆さんの負担軽減ができていますか?
- 看護師2名で回るところを、看護師と看護補助者のペアで動くことができるので、看護師1名は他の仕事に従事できるといった強みがあります。ペアでなくても、看護補助者のみでトイレに誘導したり、ときには患者さんの話し相手になってくれることもあります。夜間ですから不安になる患者さんも多く、そばに誰かがいてくれるだけでも安心して休まれる方も多くいらっしゃいます。そのぶん、看護師が重症の患者さんのケアに回ることができます。実際に、夜間看護補助者導入後は患者さんの夜間の転倒や転落の頻度も下がっています。
日勤では病室の整理整頓などの間接業務が多いのに対し、夜勤では、食事介助、排泄介助、体位変換、おむつ交換など直接的なケアが多くなります。また、緊急に採血するとなったとき、看護補助者が不足したものを取りに走るというようなこともありえます。そんなときでも、看護師は病棟を離れることなく患者さんに付いていられるので、ケアの質の向上につながっていると思います。
Q5
- 夜勤専従看護補助者の存在が、看護師の採用に与えた影響などはありますか?
- 看護師の採用フォーラムなどでは、「看護補助者の皆さんも、私たちと同じ二交代制で16時間勤務しています」という話はよくします。看護師が看護の仕事に専念できる環境を整えていることに感心される方も多く、実際に当院の採用にもよい影響が出ていると考えています。
Q6
- 看護補助者を看護チームの中でどのように位置づけていただいていますか?
- 看護補助者の研修の中でも看護部が目指す方向についての理念共有を目的とした講義を行いますが、当院の看護サービスには看護補助者のサービスも含まれるので、一人ひとりの心構えやスキルを磨くことを必ずお願いしています。看護補助者の皆さんもチームの一員ですから、互いに話し合う機会を増やすなど、コミュニケーションも大切にしています。「チームの一員」という考え方がモチベーションにつながり、結果として看護補助者の皆さんの定着率の向上にもつながっていると感じています。
Q7
- 最後に、これから看護の現場で働いてみたいという方へのメッセージをお願いします。
- これからは看護の分野でも、ある部分はロボットや機械に置き換えることができるのかもしれません。けれど、人と人との会話とか感情の部分はそうはいかないでしょう。手のもつ温かみを通して初めて分かる部分も少なくないのです。
困っている患者さんの役に立ちたいという想いが、私たちの仕事の推進力であり、やりがいです。例え資格がなかったとしても、その想いは私たち看護師も同じです。看護補助者の役割は今後ますます重要度を増していくでしょうし、同じチームの一員として地域医療を支えていければと思っています。